昨今の日本のファッションシーンを盛り上げているブランドの1つと言っても良いであろうブランドCIOTA(シオタ)。このCIOTA、デビュー3年目ながらユナイテッドアローズやシップスなど大手セレクトショップでも多く取り扱われています。
たしかに一般的な知名度としてはまだまだかもしれませんが、ファッション好きの一部の層からは異常なほどの熱狂的な人気を誇るブランド、CIOTAをご紹介します。

CIOTA(シオタ)ってどんなブランド?デザイナーは?
CIOTAは岡山県の生地・縫製メーカーである株式会社シオタが2019年AWシーズンよりスタートしたファクトリーブランドです。
ファクトリーブランドって?
ファクトリーブランドとは、その名の通り工場(factory:ファクトリー)が企画、運営するブランドのことです。
普段はデザイナーズブランドなどから受注した製造を行っている下請け企業(工場)がそのノウハウを生かして独自ブランドとして展開します。所謂中間マージンといわれるコストが削減されるがクオリティは変わらない為、コストパフォーマンスの高さもファクトリーブランドの魅力の一つです。
特にシオタはメーカの中でも生地、縫製の2つを共にルーツとしていることを理由に、全ての工程を自社内で完結できてしまうことが大きな強みになっています。簡単に言うと他社を介さない為、好き放題、妥協なく運営ができます。ファクトリーブランドの中でも全工程を自社で完結しているのは稀なんです。
CIOTAのディレクターは荒澤 正和さん。荒澤さんは約20年間、百貨店アパレル、大手セレクト、コレクションブランドなどでデザインを手掛けたのち、株式会社シオタに入社されています。
荒澤さんの公式インスタグラム:masakazu_arasawa
荒川さんは2022年よりインスタグラムでCIOTAのアイテムを紹介しており、その背景やこだわりを強く感じ取ることができるので一見の価値ありです

CIOTA(シオタ)のアイテムの特徴
CIOTAの展開するアイテムの最大の特徴として避けて通れないのがその素材の話。全てのコットンを使用したアイテムに希少価値が高い超長綿の「スビンコットン」を使用しています。20年という長いキャリアの中で様々なコットンを見てきた荒澤さんも「費用対効果を考えた際、スビン以上のものはない」と仰っています。
スビンコットンとは
インド原産のスジャータ綿に繊維の宝石とよばれるシーアイランド綿を掛け合わせた、細くて長くて柔らかいインドの最高級綿。インド南部に限定して栽培される綿花で、収穫量も不安定な面もあることからとても希少価値の高いコットンです。スビンコットンが希少価値が高い、つまり市場に多く出回っていない理由として簡単には、「限定的な生産と栽培条件」、「栽培期間の長さ」、「収穫量の少なさ」にあります。

デザイン面に関しても面白い特徴があり、それはCIOTAのアイテムはトレンドではなく生地からインスピレーションを受けて制作されているということです。生地の良さを最大限引き出すようシンプルかつスタンダードで、トレンドに左右されにくいアイテムを展開されています。実はこの素材からデザインを考えるという姿勢、あのAURALEE(オーラリー)と同じ考え方でもあります。
またCIOTAはクオリティに対する価格というところにもこだわりを持っています。例えばCIOTAの代表的なアイテムとしてデニムがあり、同じものを他ブランドや工場で作った場合には約1.5倍ほどの価格になってしまうそうです。実はCIOTAは他のファクトリーブランドと比べると価格帯は高めですが、その価格に対してのパフォーマンスは特に高いです。CIOTAが価格を抑えられている理由として、ファッション業界にある原価率のルールに捕らわれない姿勢があります。これに関して荒川さんのインタビューの一部が分かりやすいので引用します。
ファッション業界には“原価率ルール”がある。例えば、1000円でジーンズを作って4000円で売ったら原価率は25%だ。ただし、1000円で作ったジーンズには魅力がないかもしれない。魅力がなければ、いくら安くても売れない。また、得られるもうけは3000円だ。一方で、5000円かけて作って1万円で売るジーンズがある。原価率は50%だが、もうけは5000円だ。そこには2000円の差があり、「シオタ」は後者を選ぶ。見るべきは、率ではなく額。簡単な理屈であり、長いこと唱えてきたが業界内では理解してもらえなかった。
引用元:WWD
この考えの初めての理解者が株式会社シオタの中野社長だったそうです。社長の心意気もあり、CIOTAのブランド性が成立しているんですね。

CIOTA(シオタ)の今後
2021年10月に初のオンリーショップを東京の代々木上原に出店し、飛ぶ鳥を落とす勢いの人気を見せるCIOTA。
その人気を一過性のものにしないために、2019年のスタート以降ブランドのアイコン的存在で最も人気もあったアイテムのワンウォッシュデニムとベイカーパンツの展開を21年秋冬で辞める等、そのブランディングにも隙がありません。
また職人気質な荒澤ディレクターは22ssシーズンから、より良い服を作ることを優先するために取材やリースも断っているそうです。
展開がベーシックなアイテムが多いだけに、今後どのような進化を遂げていくのかも楽しみですね。
公式サイト:CIOTA
公式インスタグラム:ciota_tokyo