近年、数多の有名ブランドがさまざまなアプローチでサスティナブルに取り組んでいる現状があります。日本でも常識になっているサスティナブルですが、実はその動きが活発化する前からこの問題に取り組んでいたブランドは少なくありません。デザイン性の高さからも特に欧米を中心に人気を博しているスニーカーブランド「VEJA(ヴェジャ)」もそのブランド一つであり、2004年からサスティナブルなスニーカー作りを続けてきました。
そんなサスティナブルムーブメントの先駆けともいえるブランド「VEJA」にフォーカスしていきます。
VEJA(ヴェジャ)の始まり
「VEJA」は2004年にフランスで創業、翌年の2005年にファーストコレクションを発表しました。
創業者のフランソワ・ギラン・モリィヨン(Francois Ghislain Morillion)とセバスチャン・コップ(Sebastien Kopp)は、元々ニューヨークの銀行に勤めており、ファッション業界でのキャリアはなく、ITベンチャーの立ち上げを目指して活動されていたそうです。ではなぜそのようなお二人がスニーカーブランドを始めるに至ったのでしょうか。
きっかけは2003年、彼らが25歳の時のことでした。ファッションブランドの監査で訪れた中国の工場で目にしたものが、彼らの方向性を大きく変えることになります。
彼らによると、工場は清潔に整えられているにもかかわらず働く人の顔色は悪く、疲れた様子だったそうです。工場長に居住スペースを見せてもらうと、そこは劣悪な環境でした。当時から現在も世界で多くの人たちが中国の工場で作られた洋服を着用しています。そこでお二人はグローバリゼーションが世界を悪い方向に向かわせているのではないか、何か間違っているのではないかないかと感じました。ここから彼らは生産者と消費者が公平な関係を保つ仕組みの中でモノ作りをしたいと考えるようになりました。この内容はVEJA誕生秘話として彼ら自身が語っています。
スニーカーを選んだのは彼らの世代の消耗品の象徴だったからだそうです。たしかにリペアを行うと長く履くことができる革靴とは違いスニーカーは消耗品というイメージが強いですね。
「VEJA」とはポルトガル語で「見る」という意味ですが、自分たちの課題を「透明性の限界を押し上げ、革新的な素材を見つけること」として、環境汚染を減らすためのモノ作りや生産者の労働環境に注意しながら日々取り組んでいるそうです。「伝えたいのはスニーカーを通じてその背景まで見ることだ」とお二人は言います。

「VEJA」の生産拠点はブラジルにあります。中国を訪れたのと同時期に訪れたブラジルの生産者の労働環境は守られており、同地には原料の天然ゴムやオーガニックコットンがありました。原料調達と物流は、就労困難な失業者の社会復帰を支援するNGOと共同で運営管理しています。工場にも自社スタッフを配属し、作り手の適正な労働環境を管理し、ビジネス面でも、再生可能エネルギーを供給する電力会社を選択したり、公式サイトに生産者との契約や購入したオーガニックコットンの価格を開示したりと、独自の取り組みを行っています。
さらにVEJAは、一般的なスニーカーブランドが多大なコストをかける広告料を極力削減することで、手に届きやすい価格を実現しています。とある大手スニーカーメーカーでは7割が広告費で、3割が原材料と生産に費やされているようです。そのVEJAのモノ作りの姿勢は多くの人々に支持され、インターネットやSNSを通して知名度は高まり続けています。誠実なモノ作りが、自然と反響を呼ぶという、本来理想的な生産者と消費者の関係を、VEJAには見ることができます。
今やサスティナブルに取り組むブランドは数え切れないほどありますが、モノ作りのみならず生産者と消費者の関係、会社自体の在り方など、ここまで透明性を追求しているブランドは他にないのではないでしょうか。
VEJA(ヴェジャ)のスニーカーの特徴
VEJA(ヴェジャ)のスニーカーに使用される素材は、天然ゴムのソールをはじめとして再生ペットボトルを使ったアッパー、オーガニックコットン製のシューレース、バナナ油やサトウキビを配合したミッドソール、水質に配慮したクロムフリーのレザーパーツなど環境に配慮した素材を厳選しています。

世間のサスティナブルへの関心は年々高まっているものの、当然、スニーカーを買う人にとって、この点だけが購入の決め手になる訳ではないと思います。「VEJA」の場合も、人気の源泉を探れば、やはり優れたデザインと履き心地に行き着きます。
デザインはシンプルかつオーセンティックでトレンドに左右されず、カジュアルからドレス、モードまで様々なスタイルにマッチします。ミニマルなデザインでスタイリングを選ばず長く履くことができるという点でも環境保全に一役買っているということができすね。2005年のファーストコレクションの発表以来、着実にファンを増やし、現在では累計450万足を突破しています。ヨーロッパの有名セレクトショップでも展開されており、英国の百貨店セルフリッジでも最も売れるスニーカーの1つのようです。
ファッション界での評価も高く、「MARNI(マルニ)」や「Rick Owens(リック オウエンス)」といったハイブランドとのコラボモデルも続々とリリースされており一層話題も呼んでいます。
またデザイン性だけではなく一度味わうとやみつきになるしなやかな履き心地もVEJAの魅力です。ソールに使用されるブラジル産の天然ゴムは、鮮度を保つべく採取したその日のうちに生成することで粘度が増し、クッション性がアップするようです。加えてオーガニックコットン製のシューレースはしなやかで、再生ポリエステルを用いたメッシュのライニングも軽さと通気性を呼び込み快適な履き心地を実現しています。

VEJA(ヴェジャ)のおすすめモデル4選
得意とするローテクからランニングシューズ風のアイテム、バッシュのようなハイカットモデルまでバラエティに富む「VEJA」のラインアップ。どれを選んでも主力級の良作揃いですが、その中から特におすすめのモデル4選をご紹介します。
V-10
2015年にブランドの設立10周年を記念して作られた「V-10」は、甲のパンチング穴が特徴。このマークのパーツにはラバーや籾殻の混合素材を使用しています。シンプルな配色から春夏らしいヒール部分に赤とネイビーがあしらわれたトリコロールカラー等も展開しています。ヒール部分のデザインがバックシルエットにも、自然なアクセントを添える一足です。
世界的女優のエマ・ワトソンさんもこちらのモデルを着用されています。
Esplar
前記の「V-10」と人気を二分するスタンダードモデルは、往年のテニスシューズを彷彿とさせる上品スポーティなデザイン。アッパーは環境に配慮したなめし工程で生産されたウルグアイ産の牛革、インソールには天然ゴムとサトウキビ、リサイクルEVAなどが使用されています。
CAMPO
ミニマムなデザインのボディに配置されたサイドのVマークや、かかとのロゴがアクセントになる「CAMPO」。シンプルなデザインはどんなスタイルにも馴染み、クリーンで大人の印象に。ソフトな質感で、履き心地も快適です。
RIO BRANCO
アッパーにはリサイクルペットボトルだけでつくられた素材アルベオメッシュを使用。両サイドに配置されたロゴの頭文字「V」マークには、ラバーやもみ殻の混合素材、靴紐はオーガニックコットン、ライニングにはペットボトル由来のリサイクルポリエステルを採用しています。エコ&リサイクル素材によるどこか温かみのある風合いが魅力です。ミ
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