令和における空前のヴィンテージ、古着ブームにおいて、特にミリタリーパンツ、通称「軍パン」は驚くほどの流行を見せています。
今回は様々ある軍パンの中でも傑作と言われるフランス軍の「M-47(エムヨンナナ)」をご紹介します。

M-47とは
M-47とは、その名の通り1947年にフランスで生まれたミリタリーフィールドカーゴパンツのことを指します。M-47ジャケットと同様に1940年代頃から60年代までミリタリーアイテムとして採用され、当時の軍人に長く愛用されていました。
カーゴパンツとは、貨物船で作業する人達の間で使われるようになったワークパンツ(Cargo=貨物)。厚く丈夫な生地と、腰をかがめた時にも物の出し入れがしやすい左右の大きなフラップポケットが特徴的なパンツです。ちなみに元祖カーゴパンツ言われているのは、1942年にアメリカ軍で採用されたM-42パラトルーパーパンツというパンツですが、アメリカで実際に軍用になったのは1951年なので、M-47は早くから軍用で採用されていました。
現在では数多のブランドが、M-47をデザインソースとしてパンツを作っていますが、その中でも必ずと言ってもいいほど出てくるブランドはMartin Margiela(マルタン マルジェラ)です。マルジェラが、縫製技術を褒め称える為アーティザナルのランウェイでM-47を裏返しで履かせたという話は、あまりにも有名です。

M-47の特徴
制作時期によって前期と後期に分ける事ができます。前期は1940年代から1950年代で、後期は1960年代以降と言われており、生地とディティールに違いがあります。
前期は生地が厚めのコットンツイルで太めなストレートなシルエット、フロントのウエストボタンは縦に2つでメタルやアルミの素材を使用。色味は少しベージュっぽい色味をしています。アメリカ軍カーゴパンツに近いシルエットで、よりミリタリー色の強いディティールになっています。

後期は、やや薄めなヘリンボーンで裾に向かって少し細くなるテーパードシルエット、フロントは1つボタンでプラスチックが多く簡素化した仕様になっています。また色味が前期よりも深めのカーキグリーンです。どんな洋服にもより合わせやすいのは後期モデルでしょう。

その他、カーゴポケットがフラップのついた二重ボタンになっていることや、股下の当て布など前期後期共通の特徴もあります。カーゴポケットは、ポケットが膨らんでもボタンを付けられる様にし、中に入れた物が外に出にくくなったり、ボタンそのもの強度も高まり取れにくくなります。また当て布があることで生地の摩擦が多い部分の強度を高め破れにくくしています。このように細かい部分にもフランスのモノづくりへの姿勢が反映されていますね。

M-47 まとめ
今回はミリタリーらしく無骨な一面もありつつ、お洒落に履きこなす事もできるM-47の歴史と特徴について解説しました。
よりヴィンテージらしく履くなら前期、ファッション性高く履くなら後期など履き分けも楽しむことができるミリタリーパンツ。どちらもそれぞれ良さがありかっこいいですが、希少性だけでいうと圧倒的に前期モデルになっていたりもします。
実物ももちろん良いですが、当ブログでご紹介しているOUTIL(ウティ)やCIOTA(シオタ)、その他ブランドからもM-47をデザインソースにしたアイテムは多く展開されています。
ミリタリーアイテムのエントリーとしてもおすすめのM-47。是非チェックしてみてください。