ノルウェー・オスロ発のファッションブランド「TOMWOOD(トムウッド)」。2013年にジュエリーブランドとしてスタートされ、2016年からはウェアも始動、現在ではアパレル全般も扱っている。
ノルウェー・オスロは自然豊かな環境を持っており、それを背景に天然石を多く使用したユニセックスのジュエリーを展開している。ノルウェーのあるスカンジナビア(ヨーロッパ北部の地域)特有の華美すぎずシンプルで上品な佇まいが魅力だ。実用的かつシンプルでオーセンティック、ユニセックスで着用でき、男性的でありながら、自立した女性に向けたエレガントさも残すミニマムなデザインのアイテムが多いイメージがある。
デザイナーのモナ・イェンセン(Mona Jansen)はノルウェイの小さな島で生まれ育ち、マーケティングエージェンシー「Jimmy Royal」を立ち上げ、15年以上ファッションのブランディングやビジネスストラテジーの分野で働いていた経験のあるキャリアウーマンだ。ブランド名の由来は、モナが自分の内面にある男性性や、理想を夢想しているときに思いついた人名がトムで、ウッドというのはノルウェーの自然で暮らしたモナにとってフィットする言葉をもってきたそう。デザインをするときもトム(架空の理想の男性)であればどのようなデザインを好むだろうか、どの石を選ぶだろうかと想像を広げていくようだ。
ちなみにアパレルはデニムを中心として展開しており、「リーバイス(Levi’s)」でマネージングディレクターとして経験を積んだモナの夫が手掛けている。
ノルウェーの国民性として、現地のファッションデザイナーを悩ませるほどに男性はファッションにお金をかけることに興味がなく、王道で安全な服を好むそうだ。そのような国にあって、ましてやジュエリーメインでトムウッドは世界的なブランドになっている。モナがインタビューにて話していたが、ノルウェーでジュエリーといえばもっとフェミニンで薄い指輪が定番であり、大きく、フェミニンさを減らしたユニセックスのトムウッドは、これまでのノルウェーの男性の常識を覆したのかもしれない。
トムウッドといえばシグネットリングが代表的なアイテムだ。シグネットリングとは古くから紳士の身分証代わりだった伝統的なメンズジュエリーで、円形や台形の台座に家紋を彫ったデザインが特徴になっている。メッキ加工をせずに作ったシルバーやゴールドをベースに、天然の鉱石をそれぞれの石の表情に合わせてカットしはめ込んだ、シンプルでいて存在感を放つリングが人気だ。トムウッドのジュエリーは、職人によって1点ずつハンドメイドで手掛けられており、個々で表情が異なる1点モノになっている。天然石を多く使用したソリッドなデザインが、インフルエンサーやアーティストなどからも男女問わず幅広く支持されている。
トムウッドは時代に合わせサスティナブルに注力した新プロジェクトにも取り組んでおり、2019年からは環境負荷を軽減する「Low Impact Project」を実施。デニムシャツやパンツを揃えた2020-21年秋冬コレクションの「Low Impact Denim」ではオーガニック・テキスタイルの世界基準であるGOTS認証などを取得し、水の消費量削減や合成化学薬品の不使用、グリーン貨物の起用などに取り組んでいる。2021年春夏には、ヘッドデザイナーに「Gabriele Colangelo(ガブリエレ コランジェロ)」のシニアウィメンズウェアデザイナーを務めた経歴を持つマティア・ヴァン・セヴェレン(Mattia Van Severen)を起用し、新コンセプトのテーラードコレクション「Ten by Tom Wood (テン・バイ・トムウッド)」をスタートした。これは定番アイテムに絞ったラインナップや、デッドストックのスーツ生地を採用するなど、サスティナブルなもの作りを追求しており、環境に配慮しながらデザインやクオリティにも妥協しない姿勢で、トータルファッションブランドへと成長し続けている。
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