スケートシーンを牽引し、サブカルチャーと強い結びつきを持っている「Vans(バンズ)」。どんなに服に興味のない方でもその名前を聞いたことのない方は少ないだろう。
多くのヒットモデルを生み出し、シンプルなデザインとその履き心地から老若男女問わず愛され続けているアメリカの老舗スニーカーブランドだ。
今回はVansのハイエンドライン「Vault by Vans(ボルト バイ バンズ)」に注目して、通常のクラシックモデルとは一味違う魅力に迫っていきたい。
Vansとは
まずは簡単にVansについて。Vansは1966年にポール・ヴァン・ドーレン氏と3人のパートナーが立ち上げたスニーカーブランドだ。
ブランド名の由来は「ヴァンと、その仲間達」。当初からオリジナルスニーカーを製造していたわけではなく、オーダーメイドのカスタムショップとして人気を博していた。
1970年頃から南カリフォルニアのスケーターたちの間でバンズのシンプルなデザインとスケーターに適したグリップ力の高さから絶大な人気を誇るようになっていく。その勢いに乗り店舗拡大に乗り切りますが、思うようにはいかず後に経営破綻をすることになる。
その後、ポール・ヴァン・ドーレン氏がコストダウンを試みながらもクオリティを保ったプロダクトを提供することにより、負債を返済することに成功。順調に回復を見せ、今では世界的なシューズメーカーへと昇り詰めた。
2015年にはバンズ初のスケート映画「PROPELLER: A Vans Skateboarding Video」を製作したり、バンズのスケートパークを経営するなど、その勢いは今も顕在。現在では定番アイテムに加えて多くのコラボモデルも発売し、スケートボード界だけでなく、ファッションシーンにも欠かせないスニーカーブランドのひとつとなっている。
Vansのキャッチフレーズ「OFF THE WALL」が意味していることとは
バンズのスニーカーに書かれている「OFF THE WALL」の意味をご存知だろうか。直訳すると「かべから離れる」という意味ですが、スラングで「普通じゃない、変なやつ」という意味を持っている。これは、カリフォルニアのサーフショップ“ゼファー”のスケートチーム「Z-BOYS」が、チームの一員であるトニー・アルバ氏が特別な技を繰り出したことから、Z-BOYSのオーナーがそれを型破りなやつという意味で「OFF THE WALL」と呼んだことから生まれた。当時、バンズのオーダーメイド生産が他には無い方法だったことから、このスラングがバンズのスニーカーのキャッチフレーズとして採用され、今ではさまざまなモデルに採用されている。
Vansのハイエンドライン「Vault by Vans」とは?
「Vault by Vans」は定番のクラシックモデルよりもファッションシーンを意識した2003年にスタートしたハイエンドラインだ。
様々なブランドとのユニークなコラボレーションや素材にこだわった上質なモデル、Made In USAを忠実に再現し復刻させたOGシリーズなどこだわりのモデルを展開し、定番とは一味違うスペシャル感のあるコレクションを楽しめるシリーズになっている。
バンズ本社での審査を通過し、基本的にはセレクトショップなどでしか展開されていないVault by Vansは、スニーカーフリークからも注目され、すぐにプレミアが付くほど人気のシリーズだ。
現行で発売されているインラインとの細かなディティールの違いとしては、まずはヒールタブ。Vaultではスケートボードの中に”OFF THE WALL”の文字が入る、初期のデザインを復刻している。またアッパーに対して、やや小さいワッフルソールを取り付けているため、ヒール側から見た時にアウトソールがくびれて見えるのもMade in USA時代のディテールだ。
またアウトソールに巻くラバーの太さが違うため、トゥ部分でも違いがある。Vaultではラバーがトゥまで盛り上がっているため、パッと見ただけでもその違いが分かるだろう。アウトソールのサイドに巻かれているラバーは、内側にコットンを貼ったフリクションテープを使い、手作業でタイトに巻き付けている。
インソールも、Vaultでは80年代までのMade in USAモデルで見られるハーフレザーインソール仕様を再現している。
さらによく見るとピスネームに関しても、インラインが「VANS」のブランドロゴがブラックであるのに対し、Vaultでは「VANS」のブランドロゴがブルーになっている。
Vault by Vansのおすすめ人気モデル
OG Authentic LX
クラシックなブラックとホワイトに染まったプレミアムキャンバスを使用して、耐久性を強化し履き心地を向上した、Vansの王道「オーセンティック」。オリジナルのスタイルは失わず、加硫加工されたミッドソールを加え高品質な素材のみを使用することによって実現させた至高のローテクスニーカーだ。
OG Old Skool LX
クラシックなホワイトとブルーの「オールドスクール VLT LX」は柔らかいヌバックで構造され、レザーのサイドストライプと加硫ミッドソール、ワッフルラバーアウトソールを採用している。高クオリティでありながら、スケートシューズの顔ともいえるデザイン性は健在だ。
OG CLASSIC SLIP-ON LX – USMC ARMY MIX
トレンドに左右されることなく、ヴィンテージのミリタリー、アウトドア、ワークウェアをモチーフに1970年代から展開するイギリスのブランド「NIGEL CABOURN」とVANS VAULTとのコラボレーションモデル。 USMC(アメリカ海兵隊)で使われていたキャンバスシューズをモチーフにしてSLIP-ONに落とし込んでいる。キャンバスとヘリンボーンで切り替え、随所にステッチワークによるアクセントが入る1足だ。
SK8-MID VAULT LX ‘BROWN’
JJJJOUND(ジョウンド)とのコラボレーションで登場した1足。シルエットは1978年にデビューした「Style 37」。アンクルガードのコンセプトをデザインに取り入れた、当時ブランド初のハイトップのスケートシューズであったが、生産期間は1年と短く後に「Off The Wall」シリーズの中核をなす「「Sk8-Hi」へと進化したモデル。JJJJOUNDによって再構築されたミニマルなデザインに仕上がっている。