正直そこまでファッションが好きではないという方でも自然と生活の中に溶け込んでいるデニム。もはや持っていないという人のほうが少ないのではないのだろうか。
デニムというと誰もが想像するであろうブランドがLevi’s(リーバイス)だろう。今回はリーバイスの中でも、デニムの金字塔、永遠の定番と言われるモデル「501」の魅力や特徴に迫っていきたい。
Levi’s 501の始まり
1853年にドイツ移民のリーバイ・ストラウス氏が創業した『リーバイス』。ゴールドラッシュにわくアメリカで生まれた同ブランドは、金鉱で働く人々からの丈夫な作業着が欲しいという要望に応え、当初はキャンバス地を使ったワークパンツを生産、販売していた。その後1873年にフランス生まれのデニム素材を使用し、リベット留めで補強を行ったジーンズの生産をスタート。1890年に「501」というプロダクトナンバーが振られたことでその歴史が始まった。
上記の通りジーンズの生地であるデニムは、丈夫で耐久性に優れていることから労働服として採用された。また実は1873年にリーバイスが特許を取得した金属製のリベットにも秘密がある。賛否様々な声から生み出されたリベットだが、ワークパンツの難点であったポケットのほつれやすさが解消され、さらに耐久性が高まり長く履くことが出来るようになった。
そして作業着として使われていたジーンズがファッションアイテムとして日の目を浴びるのは1950年代、ハリウッド俳優のマーロン・ブランド氏が映画「The Wild One」の作中で「501」を着用したことがきっかけで、アメリカの若い世代の間で一気に人気が広がる。当初は不良のはくパンツというイメージが先行したが、その後501をはじめとしたジーンズはファッションアイテムとして無くてはならない存在となってきた。
Levi’s 501の特徴
リーバイス501のシルエットは「レギュラーストレート」。これは今でもジーンズの基本形といわれており、直線ですっきりとしたフォルムが特徴だ。フィット感のあるウエストと深めの股上がお尻周りをすっきり見せるので、ジャストサイズで着用するのがおすすめ。ワークウェアとして使用されていた歴史あるジーンズの良さを残しつつも、クラシカルでおしゃれな印象を与えるシルエットになっている。
基本形としては上記のレギュラーストレートだが、「501」のディティールは誕生以降、時代とニーズに応じて常に進化を遂げて来た。ここではその一部をかいつまんで紹介しよう。
まず、黎明期となる1890年代。当時の「501」は今では普通ともいえるベルトループが存在せず、サスペンダーとシンチバックでウエストを調整する、所謂古い時代のワークウェアの様式を備えていた。実際の現場での使用を想定した、ヘビーデューティな仕様だ。アメリカが長い恐慌から抜け出しつつあった1930年代においてはベルトループが付属するようになり、やがてサスペンダーボタンは省略される。シンチバックはその後もしばらく残されていた。
そして第二次世界大戦に突入した1940年代。物資統制下において、月桂樹ボタンやドーナツボタンといった共通資材の使用やスレーキ布の流用、リベット留めの省略やアーキュエイトステッチのペンキ化など各ディテールの簡略化が見られたのがこの時代だ。それに合わせて型番の頭にも、「Simplified(簡略化)」を意味する「S」の文字が施されていた。
1950年代に入ると、タウンユースでの使用が想定されたモデルが続々登場する。特筆すべきは70年代に発表されたいわゆる「66」モデル。タイトで美脚効果の高いシルエットから、現在のファッションシーンにおいても高い人気を誇っている。
現在にいたるまで時流に合わせたアップデートを行っているからこそ、永遠のスタンダードとして「501」は存在し続けている。
また現代の一般的なデニムの大きな特徴である5つのポケットだが、実はその原型も501から踏襲されたデザインだ。元々バックポケットは右側だけの仕様であったが、1901年発表の501には左側にもポケットが付き、フロントに2つ、コインポケットと現代のデニムの標準となった。
古着市場やヴィンテージで特別感のある1本を探すもよし、現行品や復刻を履き込んで自分流の色落ちや変化を楽しむもよしな定番モデルの「501」。当時の世界情勢や物資不足など、様々な要因から製作年代によってディティールが違い、当時の思いやシルエットに想いを馳せながら履くことが出来ることもまたその魅力の一つだろう。
公式サイト:LEVI’Sリーバイス公式通販サイト