グレーのスウェットというと、そこまで服好きでなくても誰しもが一度は手にしたことがあるのではないだろうか。
特に上の写真のような杢(もく)グレーと呼ばれる、霜降り状のような柄のグレーのスウェットはイメージしやすいだろう。この杢グレーの基準を作ったブランドがmocT(モクティ)だ。
今回はそのグレーの生みの親と言っても過言ではないmocTにフォーカスしていく。
mocTの始まり
大阪に本社を置くテキスタイルメーカー新内外綿株式会社が2017年に創業130周年を機に、初の自社ブランドとして「mocT(モクティ)」をスタート。
新内外綿株式会社は1887年に創業した超老舗メーカーだ。新内外綿は約50年前に「GR7」と呼ばれる糸を開発。GR7は一般的に杢グレーや霜降りグレーと呼ばれるもので、濃淡のある色が混じり合った色のことを指す。そして、このGR7による杢グレーは、日本のあらゆるグレーのアイテムの中で最も流通している糸であり、グレーのカラーコードとなっている。
mocTでは、そんな杢糸のパイオニアでもある老舗ならではのノウハウで、Tシャツからスウェット、パーカ、ニットキャップ、靴下まで、杢糸をふんだんに使用した高品質なアイテムを展開している。
mocTの特徴
前述の通りmocTのアイテムは、トップス、パーカー、スウェットパンツ、Tシャツ、ポロシャツ、タンクトップ、さらには帽子から靴下まで様々だが、そのカラー展開はグレー１色という徹底した拘りがある。下請けの紡績会社として様々な杢グレーのプロダクトに関わってきた中で、一つの素材としてだけでなく、糸の知識があるからこそ着る人にとって心地よいものを提供したいという想いがアイテムの中に詰まっているといえるだろう。
昨今、他のテキスタイルメーカーでも自社ブランド(所謂ファクトリーブランド)を作っている会社は多くあるが、その多くは原料からではなく、糸を仕入れてから生地を編む「ニッター」という編みの企業だ。それに対して、新内外綿は原料の綿から糸を作る会社だ。つまりオリジナル生地を開発し、そのまま商品として採用することもできれば、新製品のために新たに糸を開発することもできる。極少量から綿を混ぜていくことが可能なようで、綿が21%、カシミヤ2%、シルクが4%、ナイロンが8%、等のような形で、唯一無二のテキスタイルを作ることが可能だそうだ。
またmocTは究極のベーシックをテーマに掲げており、その追求のために数多の古着等を分析しながら、限りなく普遍的に長く愛されるようなデザインが考えられている。流行を無視しているわけではなく、あくまでテキスタイルを一番よく表現できるデザインを考えた結果、ベーシックなものにたどり着いたようだ。その結果、mocTのアイテムは室内外問わず、リラックスして着られる着心地の服を目指し、ファッションに昇華できるようなデザインがベースになっている。
mocTのおすすめアイテム
mocTでは大きくデザインは変えず定番的なアイテムを多く展開している。ここではその一部、おすすめモデルをご紹介しよう。
REGULAR FIT S/S TEE
定番のクルーネックの半袖Tシャツ。8割以上の綿が染色・漂白による負担を受けていない柔らかな状態なので、コットン本来の気持ちよさを実感できる。一枚で着るのは勿論、インナーとしても活躍してくれ、年中楽しめる使い勝手の良さに抜群の着心地を楽しめる。程よいバランスのシルエットは、ベーシックで普遍性を感じる一枚。ある意味「どこにでもある杢グレー」でありながら「どこにもない杢グレー」のアイテムは、百数十年の老舗が出したという冠を外しても感じる確かな作りだ。
NEON SCRIPT LOOPWHEEL CREWNECK P/O
霜降をネオンカラーの糸で再現したネオン杢は、遠目は落ち着いたワンカラーのように見え、近づいてみると微かに見えるネオンカラーが、シンプルな素材感に抜群のニュアンスをプラス。決して派手すぎず、程よいヌケ感がシンプルスタイルをグッと存在感あるものにしてくれる1枚だ。
使用しているネオン杢は、糸にする段階で絶妙な塩梅にネオン綿を微量に混紡。他に類を見ない軽妙なニュアンスを持った生地は、シンプルながらも遊び心を感じる仕上げだ。使用している綿は、アメリカ・オーストラリア・ヨーロッパ等から選りすぐった綿を選定。新内外綿130年のブレンド技術で安定した品質、値段を供給してくれる。
NEON SCRIPT LOOPWHEEL HOODIE
上記のNEON SCRIPT LOOPWHEEL CREWNECK P/O同様ネオンカラーの糸を使用したネオン杢のプルオーバーパーカー。
素材の良さを存分に感じれる、ゆとりある柔らかなシルエットでありながら、ほどよく身体をスリムに見せてくれるフィット感が特徴。袖口と裾にリブ、フロントはカンガルーポケットを配備した、定番で使い勝手のよディテールとなっている。裏は起毛していないパイル地を採用しているためロングシーズン着用することが可能。限りなくシンプルに無駄を削ぎ落とした仕様は、普遍性を追求した長く愛用できる1着だ。
GOODS(CAP＆SOCKS)
ニットキャップは、⽣地は柔らかく、ゆったりとした程よいフィット感が⼼地よいアイテム。季節を問わずに着⽤できるコットン100％で、使い勝⼿も抜群。ウールやポリエステルの素材感が苦⼿な⽅にもオススメだ。
ソックスは靴下産地でもある奈良県のローゲージソックスの匠と呼ばれる工場で生産されている。リブ編みのローゲージソックスは、明らかにタフネスさがわかる履き⼼地。真夏は汗をしっかり吸収し、靴の中も清潔感を保つことができる。真冬は適度なウォーム感が⼼地良い。程よい伸縮性があり⾜を締め付け過ぎず、程よいフィット感。洗えば洗うほどにふんわりと、履き⼼地が良くなっていくのも特徴だ。
mocTは、この他にも様々なベーシックウェアを展開している。BEAMS(ビームス)など大手セレクトショップでも取り扱いをされているので気になった方は是非チェックしてみてほしい。
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