最近街に出ると、ミリタリーといった要素をファッションに取り入れることがもはやトレンドを超えて普遍的に見えるほど、ファティーグジャケットやカーゴパンツ、ミリタリーシューズなどをおしゃれに履いている人が多いなという印象を受ける。
特にカーゴパンツは幅広い年齢層の方が着用している。セレクトショップ等のオリジナル商品として展開されているのもよく見かけるほど現代のファッションシーンに浸透している印象だ。
そして今一着は持っておきたいカーゴパンツの代名詞と言われるのがアメリカ軍のM-65(エムロクゴ)フィールドパンツ。
今回はそんなM-65とはどんなパンツなのかをご紹介したい。
M-65とは
そもそもの話ですが、まずカーゴパンツとは、貨物船で作業する人達の間で使われるようになったワークパンツ(Cargo=貨物)のことを言う。厚く丈夫な生地と、腰をかがめた時にも物の出し入れがしやすい左右の大きなフラップポケットが特徴的なパンツだ。ちなみに元祖カーゴパンツ言われているのは、1942年にアメリカ軍で採用されたM-42パラトルーパーパンツというパンツとされている。
カーゴパンツは、カーゴポケットと呼ばれる大きなポケットが側面に搭載されているのが特徴で、6つのポケットがある事から6ポケットパンツとも呼ばれている。その6ポケットパンツの始まりとされるモデルはM-51のフィールドパンツ。そしてそのM-51の後継で、今回ご紹介するM-65のフィールドパンツは、カーゴパンツの代名詞的なモデルとなっている。
M-65フィールドパンツは、1965年からUS ARMY(アメリカ陸軍)で採用された野戦用のM-65シリーズの一つ。M-65フィッシュテールパーカーが特に有名です。
M-65フィールドパンツは、1965年の採用から約40年ほど若干のマイナーチェンジをしながらも、US ARMYで使われ続けた。それほどに完成度の高い名作ということだ。
そしてM-65フィールドパンツはその完成度の高さから、名だたるブランドのサンプリングソースともなっている。
M-65の特徴
M-65の最大の特徴は何といっても、そのズドンと太いシルエットだろう。基本的に軍パンといえば太いシルエットが多い印象があるが、やはりM-65も例外ではない。M-65は中でも圧倒的なボリューム感がある。その理由としては、前身であるM-51フィールドカーゴパンツが寒いエリアでの着用を想定されたオーバーパンツとして作られており、同様に寒冷地任務の際に中綿入りのライニングの装着を可能にするためだ。
また分かりやすい特徴として、膝部分のアクションプリーツがある。膝部分にタックが取られていて、膝を曲げ伸ばししても生地が突っ張らない様になっており、動きやすさを重視したディティールになっている。ライナーを装着した軍事行動の際でも膝部分が動きやすいようにと考えられてのディテールになっているが、こういうところを目の当たりにすると軍事用品であることを再確認させられる。
上記のアクションプリーツと同様、M-65の特徴として語られることが多いのがカーゴポケットに忍ばされた布テープだ。有名な話ではあるがこの布テープの使い方は主に2つ。1つ目は行動中にカーゴポケット内の道具が動いて音を立てない様に固定する為。もう一つが止血用で、怪我をした場合に鼠径部を縛って止血が可能になっている。
ちなみに、サイドに取り付けられたカーゴポケットにも仕掛けがあり、ポケットのマチが全て背面側に設置されているのもM−65の特徴。前面側にはマチがなく、背面部分にのみマチが設計されているというポケットとしては一見不自然な作りだが、これはジャングルなど茂みを行動する際に、枝木がポケットに引っかからない様に想定されたディテールとなっている。
素材はコットン50%とナイロン50%の混紡素材。重厚な生地厚からは想像できないほど、穿くと軽快な生地感は季節問わず着用を楽しめるパンツだ。ちなみにM-51の生地はコットン100%の素材が使われている。
M-65 まとめ
今回はアメリカ陸軍によるカーゴパンツの代名詞M-65をご紹介した。
細かいディティールにまで注目して解説したが、ファッションブランドでM-65をサンプリングして展開されているアイテムはブランドごとでディティールやシルエットなどを変えており、多種多様なデザインのものがある。もちろん実物も良いが、より街履きしやすくリデザインされたのものにも良さがある。
是非、本記事でM-65について知っていただいた上で、自分にぴったりのM-65を見つけてみてほしい。